午後6時、いつものように夫(36)が会社から帰ってきた。
「ただいま」
その声を聞いた瞬間、「不機嫌」だとわかった。案の定、夕飯も食べずにソファに座り、スマホをいじって自分の世界に入っている。
「今回はどれぐらい不機嫌が続くんだろう。数時間? 数日? 数週間?」
慣れたこととはいえ、気がめいる。
女性(36)がマッチングアプリで出会った夫と結婚したのは6年前。今は4歳の息子と3人、都内で暮らす。
当時、女性は何としても30歳を前に結婚したかった。それでも見ず知らずの人とメッセージを交わし、デートの約束をして……というプロセスを繰り返すのはしんどかった。
何往復もやりとした末に会っても、プロフィル写真とのギャップが大きかったり、会話が続かなかったり。大半が「ごめんなさい」に終わった。
夫のプロフィル写真の印象は良かった。公衆トイレの鏡に映った姿を使う男性も多い中、旅行中の写真を使っているだけで、ポイントが高かった。
1カ月ほどやりとりし、銀座で待ち合わせた。目の前に現れたのは、福井県出身のおっとりとした男性だった。しゃぶしゃぶ鍋を囲みながら、心地よく話すことができた。生理的に問題ないし、引っかかる点もない。「前に進もう」と決めた。
その後は公園で散歩したり、猫カフェで和んだり、会社帰りに飲んだりとデートを重ねた。つきあってから1年後、旅行先の石垣島で、星を見ながらプロポーズされたときはうれしかった。
「でもいま思えば、結婚を焦っていたから、よく吟味しなかったんですよね」
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